2014年3月28日金曜日

2014春 烏ヶ山

今シーズン最後の宿題の一つ,烏ヶ山が残っていた。知ってか知らずか,代表Sより「烏ヶ山を誰も登らないルートで行くぞ」と誘いを受ける。深い愛情を感じた。何十回と天気予報を見返しても天気予報は曇り。木曜日に晴れはないのか?最後の最後まで使わずに残しておいた休暇を使い,名もなきルンゼをルンルンで駆け上がってきた。
烏ヶ山本峰を望むS,Mk,Mi
①日時:2014.3.27(木)
②行先:烏ヶ山
③メンバー:S,Mi,O,Mk
④行動記録:
鏡ヶ平取り付き(8:20)→ブナの大木の跡(9:30)→眉山からのコル(9:45)→名もなきルンゼ(10:25)→前衛峰稜線(10:30)→前衛峰(10:50)→(11:10)烏ヶ山本峰(12:00)→新小屋峠分岐(12:10)→取り付き(13:30)
⑤行動概況:
御苦労さまでした
朝,薄明るくなった空に星が一つ見えた。かすかな希望を持って車を大山方面に走らせる。日野川を越える橋を通る時,天気が良ければ大山が飛び込んでくる。今朝の大山は濃いガスがどんよりと空まで続いていた。取り付きから雪原をゆっくり上がり,ブナの大木の跡を見る。「一抱え100年」ということをMiに教えてもらう。200年は生きていたことになるのだろう。200回も,この厳しい冬を越してきたかと思うと「御苦労さまでした」という言葉以外思い当らない。しばらく行くと,眉山からの尾根とスパッと切れ落ちる「蛇谷」と出会う。そこから烏ヶ山より派生する急傾斜な尾根を上がっていく。息が上がったころ,名もなきルンゼに出会う。ここまでは雪質は柔らかい。濃いガスが日差しを遮るので気温が上がらない。そのせいもあるのか,ここも表面は柔らかいが,深くステップを切ると15cmほどの深さに,トゥーが「サクッ」と決まる雪がある。木も枝も岩もなく,急傾斜な雪の壁のみが続いている。見上げても終了地点はガスで見えない。ピックが刺さる音,ステップが決まる音,交互にリズムを刻む音に,息遣いがシンクロする。先にも気持ちを置かない。後にも気持ちを置かない。今のワンステップに集中し,ピックとトゥーに気持ちをそっと置く。最高だ。
名もなきルンゼを上がる
前衛峰の稜線と出合うと,ここでアイゼンを着ける。ここからは,岩と雪,痩せ尾根と藪漕ぎのミックスとなる。踏み抜きも多くあり,スノーブリッジとなっているところは,四足歩行で進んだ。力が分散し私の重みでも踏み抜かなくて済むのだ。本峰に立ち景色を見渡せども視界は不良。ガスが視界を狭めるのも気にせず,来た道を下りて行く。新小屋峠の分岐に来た時,Sが「こっちだ」と言った。GPSも見ずに,この分岐をこのガスの中で言いあてられる人は少ない,さすがだ。この尾根は最初は急だが,すぐに穏やかになり快適になる。快適になると同じくして,日が射し,雪に映る雲の影が流れているのがわかった。あわてて,烏ヶ山を振り返ると,クールなブルーに純潔な白,むき出した岩の質感コントラストが飛び込んできた。さっきまで,ガスの中をもがいていた山が,こんなにもアルペンチックで美しいとは・・・ 木曜日の晴れは特に美しいと思った。最高の山行きとなった。
日本は古くから,芸や技を伝えるために「見習い」,「口伝」によって受け継がれているものが多くあります。YCCは,そういう所がある。良さだと思う。受け継ぐ私たちは,出来るだけ長い間,楽しく,健康で,安全に一緒に登れることを心より願っています。
さあ,次は三鈷東谷ですね!よろしくお願い致します!

2 件のコメント:

  1. 天気もそこそこ良くていい春山じゃないですか。
    天気が良かったらラッキーで,山に天気を求めてはいけません。それぞれの天気の情緒といったものも味わいたいね。高体連では私は雨男と言います。自分では晴男と思ってますが,今は開き直って,今日も嵐を呼ぶぞと言います。
    Mk,Oにとってこの程度の山じゃ物足りないでしょ。2人は山スキーにアイゼンで行かなくちゃ。そして帰りはカーラ谷を滑ってほしかったな。

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    1. 宿題が終わったと思ったとたんに、新しい宿題が出来ました。スキー板を担いで、烏ケ山山頂に立つ写真を、記事にアップしたいですね。当然Tも、一緒の写真に入ってくれますよね?とても楽しみです。

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