2016年5月16日月曜日

2016春 中蒜山(小三郎谷)

苔と新緑
沢登りの季節がやってきた。と,強気で言いながらも冷水に浸かるのはちょっと気が引ける。この小三郎谷は水がない。淵のあった滝の跡が点在するが,そこに流れる水はほとんどない。遥かな古代より,ゆっくりとした時間の中で,蒜山そのものが変化し続けているのだろう。深く削られたゴルジュ。爽やかな香りが立つような緑の苔。壮大な古代ロマンに思いを寄せながら,立ちはだかる滑る壁を突破し,異彩を放つ小三郎谷を詰め稜線に抜けた。
①日時:2016.5.16(月)
②行先:中蒜山(小三郎谷)
③メンバー:Mr,0e,Mk
④行動記録:
放牧地(7:00)→井川下降地点(7:30)→小三郎谷分岐(8:30)→F1(8:35)→F2(10:00)→縦走路(10:30)→中蒜山(11:00)→塩釜登山口(12:00)
⑤行動概況:
F1を登る
暴風もまた涼し
牧草地の脇にある轍のある道を進んでいく。右の林が明瞭になったころ井川への下降地点を探し降りる。下降ポイントは1ヶ所のみである。あとは切り立っており20m以上の懸垂下降が必要だ。しばらく歩くと泥壁が苔壁へと変化する。この時期にこの山行計画を立てた理由は,苔壁の背景に,樹々の新緑を重ねる風景が見たかったことがある。柔らかい新緑と,キラキラ輝く苔の緑のマリアージュは,狙った通りの美しい景色だった。しばらく行くと,小三郎谷へ分かれる分岐に到着する。イモリがソヨソヨト泳ぐ姿が見え始めると,すぐにF1へ到着する。縦に入ったリスを使い,山岳会らしい器具を取り出してこの滝を突破する。苔壁の美しい景色を守るため,残置や形跡は残していない。リスは浅く,もろくて決まりにくい。試行錯誤を繰り返し,Mrがルートを作ってくれた。その次の滝も,そして最後の滝も安全を確保してくれ,全員が高巻きなしで突破した。最近,会での勉強会が増えてきた。積極的に参加し,安全登山を行っていきたい。中々,日程が合わず,参加できない現状もあるが,こうしてMrがメンバーに加わってくれた時には,たくさんの事を教えてくれる。とても嬉しく心から感謝している。YCCには,その道に精通する方がたくさんいる。そして,深い所で愛情をもって接してくださり,人を育てる風土もある。その言葉の意味を,深い所で理解し,自分とYCCとの意味付けをより良いものにするならば,見える世界も変わってくるだろう。2014に,一緒にこの沢を登ったNが新しい道を進んだ。彼にエールを送る気持ちと,これからのYCCのさらなる発展を思うと,荒れる風もまた,爽やかな涼しさを感じた。

2 件のコメント:

  1. 荒れ模様のなか今シーズンの沢一番乗り素敵だぞ!(^^)!
    苔の背景の新緑ですか…私の小さな庭では苔が最初に春を告げます。まだ寒いある日、苔がいきなり鮮やかに変わる、まるでスイッチが入り点灯するように。
    全員、ONで行きましょう

    返信削除
  2. 今日は雨になる予報が出ていたのでどうしたんだろうと思ってました。
    「荒れる風もまた,爽やかな涼しさを感じた」なんてカッコいい。
    山の厳しさを楽しさに感じるには経験と実力が必要だ。
    雨には雨の,雪には雪の情緒がある。

    返信削除