北沢峠に設営し,2日間で甲斐駒ヶ岳往復と仙丈ヶ岳往復の計画を立てていたが,Szが急きょ不参加となった。
Yと共に,兼ねてより気になっていた黒戸尾根,さらには八丁尾根を周回し,南アルプスを堪能しようということになった。入念な情報収集と装備計画,万全の態勢で臨んだ。
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甲斐駒ケ岳山頂 |
①日時:2015.9.19(土)~20(日)
②行先:南アルプス(甲斐駒ケ岳)
③メンバー:Y,I
④行動記録:
【9/19】尾白川渓谷駐車場(6:00)→笹の平分岐(9:35)→刃渡り(11:25)→七丈小屋(14:35)
【9/20】七丈小屋(5:00)→甲斐駒ケ岳(7:30)→六合石室(9:35)→烏帽子岳(11:05)→大岩山(14:25)→日向山(17:50)→矢立石登山口(19:50)→尾白川渓谷駐車場(20:30)
⑤行動概況:
【9/19】尾白川渓谷駐車場から林道を進むと,すぐに竹宇駒ヶ岳神社に到着。
安全祈願を済ませ,境内脇から尾白川に架けられた吊り橋を渡り登山道へ入る。
落ち葉の道は緩やかな登りで,栗の実がたくさん落ちていた。
やがて植生がクマザサに変わり,程なくして笹の平分岐に到着。
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キノコもたくさんありました |
八丁登りに差し掛かると,樹林越しに北岳が見え,徐々に視界が開け,少しガスがかかってはいたが,刃渡りから望む南側の景色に,これまでの長い登りの疲れが癒された。
刃渡りを通過後は,ハシゴ・クサリが連続し,一段落つくと刀利天狗に到着。
刀利天狗から100mほど登り,黒戸山の北側の巻き道を50~60mほど下ると五合目に至る。
五合目からは再びハシゴ・クサリが連続となり,石碑類が増え,信仰の山であることをひしひしと感じる。
スパッと切れ落ちた岩を慎重に巻きながら,さらに200mほど登ると七丈小屋に到着。
水を汲み,クサリと岩を乗り越えて,第一テント場に到着するも,すでに満員。
第二テント場まで登り,わずかに空いたスペースにツェルトを張り,夕飯を食べ,翌日に備えて早めに就寝した。
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鳳凰三山と富士山 |
【9/20】3:30に起床。夜間の雨風なく,寒さも感じず快適に熟睡できた。
前日の疲労も回復し,天候もよい。これからの長丁場に備え,身支度を整え,登山道が明るく見え始めた5:00に出発。
2550mを過ぎて森林限界に達し,ハイマツと岩の斜面を登り切り八合目御来迎場に到着すると,
九合目の剣岩や甲斐駒ケ岳が目視できるようになり,それからは登るにつれて展望が開け,雲海に浮かぶ鳳凰三山や富士山の姿をはっきり捉えることができた。
やがて西峰に駒ヶ岳神社の本社が現れ,北沢峠からの登山道と合流し白砂の斜面を登り切ると,甲斐駒ケ岳山頂に到着。
昨日からの累計歩行時間は約11時間。そこには360度の大展望が広がり,北・中央アルプス,八ヶ岳,富士山,北岳,仙丈ヶ岳すべてが一望できた。
山頂からの展望を堪能したいが,まだまだ先は長い。
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六合目石室手前のクサリ場 |
クサリや岩場を一気に下ると六合目石室小屋が見えてきた。2006年に改築された小屋は広く,中は清潔な印象を受けた。
三ッ頭までは,真っ赤に色づくナナカマドを確認,三ッ頭からの岩稜帯にはクサリが設けられていたが,足場はしっかりしており,さほど難易度を感じることはない。
仙丈ヶ岳の藪沢カールを眺め,秋のそよ風に心地よさを感じながら烏帽子岳に到着した。
大岩山へ続く八丁尾根は,登山地図には書かれていないが登山道は明瞭で,3名の登山客とすれ違った。
小さなアップダウンを繰り返しながら,静かに広がる森の中を歩き,鞍部へ差し掛かると,大岩山まで約100mの急登が出現した。設置されたクサリ・ロープ・ハシゴのおかげで,恐怖感は軽減されたが,標高約2000mでの急登に呼吸は乱れた。
急登を終え平坦な登山道を進むと,大岩山に到着した。広々としているが,展望はない。
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雁ヶ原 |
引き続き緩やかな尾根道を進むと,植生が苔から笹に変化するが,前日のとは違い,葉は小ぶりで背丈も低い。
鞍掛山分岐を過ぎ標高2000mを切ると1622ピークまで急激に高度を下げ,少し登り返して日向山の鞍部に出る。
次第に白砂が見え始め,いよいよ日向山に近づいていることを予感させた。
樹林帯を抜けると突如として雁ヶ原の真っ白な景色が出現。白砂と丸みを帯びた岩塔群は大変美しく,これまで長く樹林帯を歩いてきたことも相まって,より一層の感動がこみ上げてきた。
八ヶ岳はガスに覆われ眺望は叶わなかったが,ひとしきり感動した後,矢立石へ向けハイキングコースを下る。
達成感と共に疲労が一気に出始め,細かな段差の一歩一歩が足に響く。
矢立石登山口に到着するのに約2時間かかった。
そこから尾白川駐車場へ向けしばらく林道を歩いていると,後方からの車に声をかけられ,ご厚意により,尾白川駐車場まで乗せていただくことができた。
車中お話を伺うと,オーレン谷でクライミングをされていたようだ。
延命の湯(スパティオ小淵沢内)で汗を流し,安全運転で仮眠をとりながら山陰へ帰着した。
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南アルプスは秋のよそおい |
⑥まとめ:
黒戸尾根からのアプローチは,兼ねてより気にはなっていましたが,八丁尾根を経由する日向山への周回コースは,まるで想像もしていなかったので,Yと共に深くて濃い山行ができたことに感謝します。今回の山行は,大きな財産となるでしょう。
ツェルトを貸してくださり,ミカンを差し入れてくださったSiにも心より感謝申し上げます。