2016年6月13日月曜日

2016夏 北アルプス(奥又白池&徳本峠)

上高地を徳澤園に向け出発
Knのザックは優に20kを超えている
20代のKn,50代の私,70代のSi,3世代の不思議な?パーティで上高地に向かいました。
上高地から徳澤園まで一緒に歩き1泊後,Knと私は奥又白池に,Siは徳本峠に(後記にSiメモ)。
山上の楽園は数あれど,奥又白池周辺は私の1番好きな場所のひとつ,「同じ所ばかりだな」と言われてもね…
前穂東壁のルンゼには残雪が岩壁にアクセントを付け一層の迫力があった。
大山夏山開きの時,前穂北尾根の話が出た。前穂北尾根に行くにしてもせめて奥又白池程度なら余裕で歩けないといけないのだが…
中畠新道分岐,雪渓は松高ルンゼ
①日時:2016.6.10(金)~12(日)
②行先:奥又白池(T,Kn)&徳本峠(Si)
③メンバー:T,Kn,Si
④行動記録:
徳澤園(5:00)→中畠新道分岐(6:30)→(9:30)奥又白池(11:05)→中畠新道分岐(12:50)→徳澤園(14:05)
⑤行動概況:
行動前日に上高地入りし,徳澤園まで歩く(T,Siは小屋泊,Knはテント泊)。
Knはアルプステント泊初体験なので快適に過ごしてほしかった。私の好きな場所,楡の巨木の下は石で囲んであり,そこは諦め,草のクッションのある場所を選択。徳澤園キャンプ場見渡し(5張り程度),一番良い場所に一番高価なテントが張れた事に密かなに優越感を持つ。
翌日はSiの見送りと「無理をしちゃダメ」の忠告を受け早朝5時に徳澤園を出発する。
自分としては最低限奥又白池まで,体調良ければ5・6のコル,涸沢経由で帰って来ようと思っていた。さらには北尾根の偵察も。
ゆっくり歩いているつもりなのに足は上がらないは息は切れ,不安がよぎる。中畠新道分岐で大休止,補助ロープは彼に渡し,さらにスローペースで登る事を決意する。
奥又白池直下
松高ルンゼは残雪はあるものの途中あちこちで雪が切れており登るのはきつそう,松高尾根(中畠新道)を選択。いきなり木登りのような急登が始まる。後は高度との闘い。Knに「今何m?」と何度となく聞き,一喜一憂しながら登りました。奥又白池直下から残雪がありピッケルを取り出す(As,昨年の源治郎尾根の反省でアイゼンも持参しましたよ)。左手に回り込み上がるとぴょっこり奥又白池に出現する。奥又白池はやっと氷が解け始めたようでまだ水中には氷が残っている。
出発してここまで誰一人会うことなく,奥又白池から周囲を見渡しても人の気配は全くなかった。ここは下界の喧噪を離れた別天地であった。
奥又白池にて
バックは北尾根,2人の間が5・6のコル
到着時刻まだ9時半,この時刻で普通なら来た道を引き返すなんてないだろう。ゴジラの背のような北尾根ははっきり見渡せ,5・6のコルも明瞭で上までしっかり雪が付いている。何回ともなく歩いた5・6のコルまでの道,Knに「さぁ行くぞ!」とは言えなかった。「どうする?」と聞いた時点で私の弱音が見透かされた。強いリーダーKnの「十分満足しました。引き返しましょう」の言葉にここで引き返す事が決定する。内心ほっとする自分がいる。
せめてこの絶景をもう少し楽しみたいのと写真撮影に裏手の小山に上がる。前穂東壁はさらに迫力をもって迫り,5・6のコルは近くなったように感じた。トラバースして少し登れば行けるのにと未練がましく思いながらもアイゼン装着し雪渓を下りました。
奥又白池と前穂北尾根全景
徳澤園に帰着しビールで乾杯後,Siの待つ嘉門次小屋に向け1人(Knはもう1泊徳澤園でテント泊)とぼとぼ歩きました。疲れていたとはいえ何人の人に追い抜かれた事だろう。改めて体力のなさを実感すると同時に奥又白池往復が正解だったと思い知りました。
⑥後記:
20年程前に集中登山登山三部作(槍ヶ岳,剱岳,穂高岳)と銘打ってバリエーション含めた集中登山を企画したことがあった。唯一穂高岳(前穂高岳北尾根)だけが宿題として残った。宿題を片付けるなんて聞こえは良いが,本当は行っていない所へ行きたいのだが…

「念願の徳本峠」文責Si:
ウォルター・ウエストンが絶賛した峠,一度チャンスがあればと思っていた徳本峠へ奥又白池に行くT,Kn両名を見送った後,ゆっくりと徳澤園を出発する。
一旦上高地方面に戻り,途中カラマツ・シラビソのうっそうとした白沢谷沿いの林道を行く。やがて傾斜が徐々にきつくなり谷沿いのジグザグ道,往年のアルピニスト達が歩いた峠道をあえぎながらコマドリの声に励まされ徳本峠へたどり着く。峠には昔から変わらない姿の古びた趣のある小さな山小屋,テン場には2張のテント,誰一人いない静かな峠,ほっと溜め息をついて前を見ると,前穂、西穂,奥穂高岳ジャンダルム,アルプスの山々…  その前にどっしりと明神岳,ウエストンが「山並はどこからでも見られるが,この眺望に勝るモノは無し」と言っただけあり,思わず感嘆の声が出る。二度と来ることは無いであろうとしっかり脳裏に焼き付け,ウエストンの名ガイド上條嘉門次の小屋へ下山を開始した。

5 件のコメント:

  1. 3日間ありがとうございました。
    初の北アルプス山行、ソロテント泊は新鮮でとても楽しかったです。今までずっと行きたかった北アルプス…今回の山行でずっと近いものに感じられました。次回はピークハントもしたいですね。

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  2. 私のわがままな急な計画に手をあげてくれたSi,Knには感謝している。
    若く体力のあるKnにとっては楽勝だったろうに,私は予想通りきつい山でした。山は体力無いと何もできませんわ。

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  3. アルプス遠征、お疲れ様でした。
    皆、嫉妬でコメントをためらっているんですかね(笑)。

    Knへ
    初の北アルプスが奥又白池とは、最高でしたね。
    今度、案内してください。

    Tへ
    体力も必要ですが、やはり情熱が一番でしょう(YCC的には)。
    次回の遠征は、ぜひとも一緒に。

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  4. お疲れ様でした。
    3世代(?)山行が出来るのはYCCならではなのかもしれませんね。
    knは今回の山行で正味分以上の経験値を得たでしょう。それがYCCの特権です。

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  5. 先日久々ユートピアに行ったが,宝珠尾根までは一般ルートを外して派生尾根を上がった。
    雨の中の超スローペース,初めての尾根,新鮮だった。
    アルプスに行こうが帰ってくるのは大山である。
    若者よ高みを目指しなさい。待ちの姿勢から主体的行動を。
    「大山周辺を一番知る山岳会」看板を降ろさんといけなくなる。

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