2015年9月25日金曜日

2015秋 北アルプス(剱岳源治郎尾根)

空は予報通り雲一つない秋晴れ,「岩と氷の殿堂」剱岳において岩登りの登竜門とされるバリエーションルート 源治郎尾根にメンバー4人で向かった。
①日時:2015.9.22(火)
②行先:北アルプス(剱岳源治郎尾根)
③メンバー:T,Ys,As,外部(1)
④行動記録:
剱沢キャンプ場(5:30)→平蔵谷出合(6:40)→Ⅰ峰(10:20-10:45)→Ⅱ峰(11:30-12:50)→剱岳(13:40-14:20)→平蔵のコル(15:00)→平蔵谷出合(17:10)→剱沢キャンプ場(19:15)
⑤行動概況:
暁光に染まる剱沢
朝の空気は冷たいが風は穏やか,空が白み始める中,剱沢キャンプ場を出発。朝日と紅葉で色づく別山尾根を左手に見ながら剱沢を下降するとほどなく平蔵谷の出合に到着。第一関門の取り付き探しは視界良好のため問題なし。取り付きは支尾根とルンゼの2つがあるが,ルンゼは先行パーティがある場合に落石の危険性が高いので,今回は計画段階より支尾根ルートを選択。好天の予報であったため混雑が予想されたが,この日は3パーティ8名が先行,我々は殿であった。アイゼンを外し登攀具を装着,いよいよ本峰頂上まで標高差900m超の登りが始まる。
全身で攀じ登る
出だしは樹林帯,岩だけでなく枝や根も掴み急勾配をよじ登る。木々は茂り,ザックと体がようやく通れるような所も多々あり,なかなか堪える体勢での登りが続く。途中,残置ロープがある岩が2ヶ所出てくるがフリーでも突破は可能,2つ目の岩では念のため先に登って補助ロープで確保した。登りにロープを出したのはこの時を含め2回であった。またルートファインディングではⅠ峰までに迷う所が何ヶ所かあり,時間のかかるショートカットを開拓してしまったが,出来る限り尾根を忠実にたどるというプランで臨んだ結果,懸念していた前述のルンゼルートへの迷い込みはなく,計画通りⅠ峰上部フェース基部でルンゼルートと合流できた。見上げるとはるか先に見えるⅠ峰,その先にあるはずのⅡ峰まで全身を使った岩登りが続く。
Ⅱ峰にて恒例の山ポーズ 剱は"T"
右に圧倒的な迫力の八ツ峰,正面にⅡ峰と本峰頂上を捉えるとⅠ峰に間もなく到着。Ⅰ峰から見るⅡ峰がちょうど小矢筈から見る矢筈ヶ山にそっくりだというYCCならではの話題になり,場の空気が一気に和む。先頭のパーティーがⅡ峰に取り付いており悪いペースではないと確認,急いでもⅡ峰の懸垂で足止めとなることが想像出来たので,ここで大休止とする。八ツ峰からは熊の岩にテントを張ったクライマーたちの声が長次郎谷を越えて響き,次は自分もと密かに思いつつ,この日の核心 30mの懸垂下降が待つⅡ峰へと気を引き締める。
核心の懸垂下降
矢筈ヶ山同様,Ⅱ峰への登りは見た目ほど厳しくなく,意外とあっさり懸垂の支点に到着。先行パーティのラストが下降している間に各自の装備をチェックしロープを準備。下降の順番はTがトップ,会員外SaとYsがそれに続き,私が最後となった。難しい技術ではないが,失敗が命取りとなる高さなので,下降前にはBARKを確認,トラブルなく全員無事下降を完了した。ちなみにロープは60mで下まで十分届いた。ここから本峰頂上までは足場の悪いガレ場が続く。石を落さないように注意しながら進むとやがて空が開け,本峰頂上へ到着,ここで剱岳への長い登りが終わる。頂上は思ったほど混雑しておらず,ゆっくりしていたかったが,時間も押していたので撮影と小休止の後,平蔵のコルまで一般道を下る。
剱岳 2,999m
平蔵谷上部は遠望しか出来ず,下降に使えるかという点は登っている間から懸案事項であったが,現場で確認したところ,問題なかったので計画通り下降は平蔵谷経由とした。上部は大小様々な岩でガレており,ここでも落石に注意しながら慎重に下る。下半分は雪渓がつながっていたが,アプローチシューズで問題ないほどは雪が緩んでおらずアイゼン分軽量化してしまったTにはややつらい下りとなった。出合まで下った後は剱沢雪渓と夏道を登り返し,日は暮れてしまったが全員無事キャンプ場に帰着。完登を祝し思い思いの方法で長い一日の労をねぎらい,源治郎尾根山行終了。
⑥雑感:
おこがましいが,今回の山行はメンバー変更により私がリーダーを拝命した。初めてリーダーとして臨む山行に2つの課題を課した,岩場のフリー突破と確かなルートファインディングである。結果,フリー突破は講習会の成果で難なく達成,ルートファインディングは及第点かそれ以下。バリエーションでのルートミスは敗退に直結する。集まったメンバーのためにもそれだけはあってはならないと,バリエーションは調べすぎると面白くないという言葉は黙殺し,徹底的に事前調べをして臨んだ。それでも難しい部分があり,隊に無用の藪漕ぎを強い,Tに助言を仰いだ。経験不足は否めない,だが「終り良ければ全て良し」では命がいくつあっても足りないだろう。これからも考え抜いて山と向き合いたい。ありがとうございました。

3 件のコメント:

  1. リーダーAsをはじめメンバーの皆様にはお世話になりました。特にAsにいたっては,初めての剱岳が源治郎でそれもリーダー,たいしたもんだ。Mtのライバルが現れた。これから精進努力してYCCを引っ張って行ってほしい。
    またひとつ忘れられない山の思い出(満足度ベスト20,全てに恵まれた)を心に刻んだ。
    楽勝のつもりで望んだ源治郎も今の私にはそりゃきつい山でした(きつさベスト5,秋の平蔵谷なめていた)。
    これで未練がましくバリエーションにこだわった山行もこれで諦めもついた。たくさん思い出の詰まった剱岳,大山同様私にとって特別な存在でした。寂しいけどもう訪れることないだろうな。

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  2. さぞ爽快な山行だったでしょう。
    謎の『劔のポーズ』もキマッてる。
    詳しい山行報告は例会にて拝聴致します。

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  3. 「そんなトコロ私には無理では」という思い込みを捨て、調べてみると行ける感じ。一定の岩登りと心身のタフです。めちゃ準備する若きリーダーAsと剱熟知の顧問T、瑞々しいSaのおかげで源次郎尾根はこの上なく心躍る快適な登りでした。切り立つ絶壁、強風なら怖い所だけれど爽やか穏やかな秋晴れに恵まれました。次々現れる白い岩壁にあれこれ取り付くのが楽しくてたまらない。Asは折に触れ八ツ峰を観察していましたね。

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